地震の前触れなのか!? 5日間で6cm岩盤がゆっくり滑っていた 房総沖でうごめく 「スロースリップ地震」の不気味
東京大学地震研究所の小原一成教授が解説する。
「過去30年間では、'83年、'90年、'96年、'02年、'07年、そして今回と6回のスロースリップが観測されています。平均するとスロースリップの間隔は約6年ですが、今回は前回のスロースリップから4年2ヵ月しか経っていない。
3・11の大震災が、日本列島の下にある4つの巨大プレートに作用し、比較的予測が簡単だと思われていた房総半島沖のスロースリップの周期まで乱してしまったと考えられるのです」
房総沖スロースリップ地震の周期
81年の観測開始から30年間で最も短い4年2ヵ月の周期で起きた。詳しいメカニズムは不明だが専門家は東日本大震災の影響が大きいとみている(国土地理院の資料をもとに編集部で作成) いまさらながら東日本大震災の破壊エネルギーには驚くほかないが、気になるのが防災科研が発表に付記した、「スロー地震により、プレート境界が固着している部分にひずみがさらに蓄積され、将来地震が発生した場合、規模拡大につながる恐れがある」という物騒な文言だ。3・ 11の大地震で生じたひずみに、長期間圧力が掛かり続ければ、「これから起こりうる地震のマグニチュードを増幅させる可能性がある」(京都大学名誉教授・川崎一朗氏)というのだ。短時間にエネルギーが放出されれば、激震につながることは素人でも理解できる。 しかし、長期間にわたってひずみに摩擦力が働き続ければ、逃げ場を失ったエネルギーはその分、蓄積されるというのだ。
北海道大学・地震火山研究観測センターの勝俣啓准教授が補足する。「確かにスロースリップ地震は、ごく稀に大きな地震につながる場合があります。『ゆっくり滑り』が数日単位で収束する場合には危険性は低いが、1週間以上も滑り続け、さらに加速度的にスリップが速まり、地滑りの距離が長くなる場合には大地震を誘発する危険性が高まるとされています」幸いにも今回の観測ではスロースリップ地震は5日間で収まったとみられるが、日本列島全体が地震の活動期にある今、決して楽観視はできない。
また、前回2007年のスロー地震発生期には、最大震度5弱の群発地震が誘発されて起きたことが報告されている。房総半島沖で観測された今回のスロースリップ地震はあの〝未曾有の大震災〟の一環であり、警戒を解くことはできないのだ。そして、スロースリップに注意が必要なのは関東地方だけに限らない。
「スロースリップは駿河湾トラフや南海トラフなど、東海、東南海、南海の大型地震が危惧されている地域でも観測されている。危ないのは房総半島沖だけではないのです」(前出・川崎氏) 4つの巨大プレートがひしめき合い、〝地震の巣〟と表現される日本列島に安寧の地はない。3・11から8ヵ月が経ち、復興に目が向きがちな今、もう一度足下の安全に気を配る必要がありそうだ。
「日本の大地震の予知と時期」 再録記事
http://plaza.rakuten.co.jp/nakaotatsuya3/
日本と地球の命運
http://gold.ap.teacup.com/tatsmaki/89.html
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